2024/11/22
ご存知の通り、私はレゴブロックをビジネスに活かすメソドロジーを習得し、それを企業組織の発展に活かしてもらおうと活動しております。 また、そのメソドロジー自体の普及にも携わっております。そして、レゴといえばデンマークが発祥地ですし、そのメソドロジーを管理している協会の本部もデンマークにありますので、ほぼ毎年デンマークを訪れています。なので、デンマークはとても親近感を感じる国になっています。 そんなデンマークについて意識するようになってから、日本とデンマークの違いについても意識するようになってきました。 デンマークは北欧の小国(面積は九州程度、人口は千葉県よりも少ない)のに、スイスのIMD(国際経営開発研究所)が行う国際競争力調査では、2022年、2023年と世界ナンバーワン、同じくIMDが実施する世界のデジタル競争力ランキングでも世界1位(2022年)また、World Hapiness Reportに掲載される、世界幸福度ランキングでは2024年2位(6年連続)と、世界でも際立った存在です。 一方の日本はどうかといえば、国際競争力は2022年34位、2023年35位、2024年38位と、ここ3年落ち続けています。また、デジタル競争力ランキングは、2022年29位、2023年32位、2024年31位という状況です。幸福度ランキングにいたっては、2024年は世界143か国中51位という結果です。 この差を見て、なぜなのか?と思う訳です。 もちろん、歴史的背景、地理的特徴、人口規模、国民性、文化など、デンマークと日本で異なる点は多々あると思いますが、それだけで片付けてはいけない課題や、学ぶべき点が両国の違いにはあると思っています。 なぜ、日本はこんなにも競争力や幸福度が低いのか。国際競争力の中でも特に日本が低い結果となっているのが「ビジネス効率性」で、2024年調査では世界67カ国中、51位です。ちなみに、デンマークは2024年1位(5年連続首位)です。 さらに、ギャラップ社が実施している「職場の従業員意識調査2024年版」において、日本で、仕事に対してエンゲージメントを持 っている従業員はわずか6%という結果でした。昨年の5%より1%改善しましたが、グローバル平均の23%を依然大きく下回っています。日本には、会社や仕事に愛着や熱意を持って取り組んでいる人がたったの6%しかいない。これでは生産性や幸福度が高くなる訳がないと思います。 ここで、やはり、なぜか??となる訳です。 なぜ、こんなにもエンゲージメントが低いのか。 『デンマーク人はなぜ4時に帰っても成果を出せるのか』(PHPビジネス新書)の著者の針貝有佳さんも同書の中で述べられていますが、「デンマークの職場の最大の特徴は「信頼」に基づいたマクロマネジメント」で、一方、日本の多くの職場は、「「不信」をベースにしたマイクロマネジメントになっている」という指摘が正に的を射ていると思います。 英紙「ガーディアン」が掲載したデータによれば、デンマークは市民の74%近くが「ほとんどの人は信頼できる」と回答しているそうです(COURRiER Japonより)。デンマークの公式サイトでも、「信頼の国」と謳うほど、デンマークは信頼がベースにある国です。一方、日本はどうでしょうか、国に対する信頼、会社に対する信頼、上司や部下に対する信頼。あるでしょうか?「部下の仕事は全部確認しないと信じられない」、「上司に間違いを指摘されないよう万全を期そう」、「会議のためのプレ会議をして準備しよう」、それらは、信頼よりも不信が先に立っている状態です。それが、マイクロマネジメントを生み出し、非効率を生み出してしまいます。 失敗を極度に恐れる不安症、成功しなければという強迫観念、すべてに完璧を求める完璧主義、1分1秒の遅れも許せないという過剰性が、日本の従業員エンゲージメントを低下させ、組織の生産性を落とし、結果的に競争力や幸福度も下げているのではないでしょうか。 人同士、人と組織、人と社会、人と国の間に信頼を築く。信頼を取り戻す。それが本当に大切なことだと思います。 逆に、信頼の土台が無いところで、働き方改革やウェルビーイングを唱えたり、法規制で強制的に行っても、高い成果は得られないと思います。 信頼の構築、それは対話から始まるものだと思います。そして、信頼し合う者同士が、ビジョンや目標などの方向性を持つことで、情熱やリーダーシップを持って行動できるのだと思います。「信頼、対話、ビジョン」。企業の組織やチームが生産性を高め、高い成果を得るためには、この3つが重要な土台になると思っています。