若手のメンタル不調増加と、中小企業に必要な「社員の悩みケア」

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若手のメンタル不調増加を、企業はどう受け止めるべきか
中小企業に求められる「社員の悩みケア」という視点

日本経済新聞の一面記事で、中小企業における若手社員のメンタル不調が大きく取り上げられていました。

記事によれば、中小企業で働く若手社員のこころの不調は、この10年で大きく増加しています。特に25〜34歳では、精神的な理由による休職中に傷病手当金を受け取る件数が、過去10年間で約3倍になったとされています。

かつて、社員のメンタル不調といえば、大企業における長時間労働やハラスメントの問題として語られることが多かったように思います。もちろん、そうした問題は今もなくなったわけではありません。

しかし、今回の記事を読むと、現在のメンタル不調は、単純に「職場がきついから起きる」という話だけではなくなっていることがわかります。

・育児

・介護

・家庭の事情

・将来不安

・理想と現実のギャップ

・働き方への価値観の違い

若手社員が抱える悩みは、仕事の中だけに閉じていません。

仕事と私生活の境目が、以前よりも曖昧になっている。
その中で、社員の不調もまた、職場要因だけでは説明しきれなくなっている。

ここに、企業側の難しさがあります。

中小企業ほど、社員の不調は見えやすく、支えにくい

中小企業には、大企業にはない良さがあります。

・人数が少ない分、社員同士の距離が近い。

・顔が見える。

・ちょっとした変化に気づきやすい。

・「あれ、最近少し元気がないな」と感じることもある。

しかし一方で、支援体制の整備という点では、大企業ほど余力がないのも現実です。

産業医、専門部署、配置転換先、休職者の業務を代行する人員。
こうした仕組みを十分に持てる中小企業は限られています。

つまり、中小企業では、社員の不調に気づくことはできても、どう支えればよいのかが難しい。

・現場の上司が気づく。

・経営者も心配する。

・けれど、本人にどこまで踏み込んでよいのかわからない。

・業務を減らしたくても、代わりに担える人がいない。

・相談に乗りたい気持ちはあっても、専門的な対応まではできない。

こうした状況は、決して珍しくないはずです。

その結果、社員が悩みを抱え込んだまま限界を迎え、休職や退職に至ってしまうことがあります。

これは本人にとっても、会社にとっても、大きな損失です。

「若手の甘え」ではなく、働く前提が変わっている

今回の記事で印象的だったのは、若手の不調を「甘え」として見てはいけない、という視点です。

年配の人から見ると、「自分たちの若い頃より労働時間も短いし、環境もよくなっている」と感じることがあるかもしれません。

しかし、ストレスの感じ方は、単純な業務量だけで決まるものではありません。

・育ってきた環境も違う。

・仕事に求める意味も違う。

・会社との距離感も違う。

・家庭や将来への不安も違う。

・情報量も比較にならないほど多い。

同じ仕事量でも、それをどう受け止めるかは、人によって異なります。

だからこそ、「昔はもっと大変だった」という比較では、今起きている問題を見誤ります。

問題は、若手が弱くなったことではない。
働く人が抱える悩みが、より多様で、複雑で、見えにくくなったことです。

企業側も、その前提に立つ必要があります。

これからは「100%元気な社員」だけを前提にできない

記事の中では、「体調100%を前提としない働き方」の重要性にも触れられていました。

これは、これからの企業にとって非常に大事な視点だと思います。

これまでの職場は、どこかで「社員は毎日、同じように働けるものだ」という前提で設計されてきました。

・毎日出社できる。

・同じ時間働ける。

・安定して成果を出せる。

・体調も気力も大きく揺れない。

しかし、現実にはそうではありません。

誰にでも体調の波があります。
家庭の事情もあります。
気持ちが沈む時期もあります。
人生の中で、一時的に仕事への集中が難しくなることもあります。

これからの職場に必要なのは、常に100%の状態で働ける人だけを前提にしないことです。

もちろん、企業である以上、成果や責任は必要です。
何でも受け入れればよい、という話ではありません。

けれど、人はいつも万全ではない。
その前提に立って、働き方や関わり方を考えることが、これからの人材活用には欠かせません。

社員の悩みを「個人の問題」にしすぎない

メンタル不調や悩みは、ともすると「本人の問題」として扱われがちです。

・本人が弱い。

・本人が相談しない。

・本人が抱え込んだ。

・本人の家庭の事情だから会社は関係ない。

たしかに、会社が社員の人生すべてを背負うことはできません。
家庭の問題や個人の悩みに、会社が過度に踏み込むべきでもありません。

ただし、社員が悩みを抱えたまま働いているとき、その影響は職場にも現れます。

・集中力が落ちる。

・ミスが増える。

・表情が暗くなる。

・周囲との関係がぎこちなくなる。

・仕事への意味や手応えを感じにくくなる。

そうした変化を、本人だけの問題として放置してよいのか。

ここに、企業として考えるべき余地があります。

必要なのは、社員の悩みを会社がすべて解決することではありません。

むしろ大切なのは、社員が悩みを抱え込まないようにすることです。

01
話せる場所
抱え込ませない入口

社員が自分の悩みや違和感を、早い段階で外に出せる場を用意する。

02
言葉にできる機会
悩みの見える化

まだ整理されていない不安や違和感を、本人が少しずつ言葉にできる機会をつくる。

03
外部につながれる仕組み
専門性との接続

社内だけで抱え込まず、必要に応じて外部の専門家や相談先につながれるようにする。

04
上司に集中させない支援
ケア責任の分散

部下の悩み対応を上司個人に背負わせず、組織や外部の力も使って支える。

そうした「悩みケア」の仕組みが、これからの中小企業には必要になるのではないでしょうか。

悩みを早めに言葉にできる職場へ

社員の悩みは、突然大きくなるわけではありません。

最初は、小さな違和感だったりします。

最近、少ししんどい。
仕事に手応えがない。
上司に相談しづらい。
家庭との両立が難しい。
期待に応えられていない気がする。
このまま働き続けられるか不安。

こうした言葉になる前の悩みが、心の中に積もっていく。

そして、誰にも話せないまま時間が経つと、ある日、限界を超えてしまうことがあります。

だからこそ、早い段階で悩みを言葉にする場が必要です。

それは医療行為ではありません。
カウンセリングとも少し違うかもしれません。
上司の1on1だけでも足りない場合があります。

社員が、自分の中にある違和感や悩みを少し外に出し、整理し、自分にとって何が問題なのかを見つめ直す時間。

会社にとっても、社員が何に困っているのかを早めに把握し、必要な配慮や対話につなげる入口。

そうした小さなケアが、休職や離職を防ぐ一歩になる可能性があります。

中小企業にこそ、外部の力を使う選択肢がある

中小企業が、社内だけですべてを整えるのは現実的ではありません。

人事部門がない会社もあります。
管理職がプレイヤーを兼ねていることも多い。
経営者自身が、社員の相談相手になっている場合もあるでしょう。

だからこそ、外部の力を使うことも一つの選択肢です。

・外部相談窓口。

・専門家との連携。

・定期的な対話の場。

・社員が悩みを言葉にするためのセッション。

・管理職が抱え込まないための支援。

大切なのは、「大企業のような制度」をそのまま真似することではありません。

自社の規模に合った形で、社員が悩みを抱え込まない仕組みを持つことです。

小さな会社だからこそ、形式的な制度よりも、実際に話せる場、つながれる場、早めに気づける関係性が重要になります。

自社で考えたい問い

今回の記事は、中小企業に対して大きな問いを投げかけているように感じます。

自社では、社員の悩みに誰が気づいているでしょうか。

若手社員は、困ったときに誰に相談できるでしょうか。

上司は、部下の悩みを一人で抱え込んでいないでしょうか。

体調や家庭の事情に波がある社員が、働き続けられる余地はあるでしょうか。

社員が限界を迎える前に、小さな違和感を言葉にできる場はあるでしょうか。

メンタル不調への対応は、これからの中小企業にとって避けて通れない課題です。

しかし、それを「問題が起きた後の対応」としてだけ捉えるのではなく、「社員が悩みを抱え込まない職場づくり」として考えることが大切なのではないでしょうか。

人は、悩みがあるから働けないのではありません。

悩みを誰にも言えず、意味づけられず、抱え込んでしまうことで、働く力を失っていくことがあります。

だからこそ、これからの企業には、社員の悩みを早めに受け止め、必要に応じて支え、働き続けられる形を一緒に探す姿勢が求められます。

社員の悩みを、個人の弱さとして片づけない。
会社がすべて解決しようともしない。
けれど、抱え込ませない。

その中間に、これからの中小企業に必要な「社員の悩みケア」があるのだと思います。

参考記事

日本経済新聞
「若手のメンタル不調、中小企業は10年で3倍 悩み多様で対応に遅れ」
2026年5月31日

※本記事は、上記記事を読んだうえでの個人的な所感として、ライフ・ブレークスルー・ジャパン株式会社が作成したものです。

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